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今から約１００年ほど前に旧日本軍が首都防衛のため

築造した人工の要塞島が、今もなお東京湾に存在する

ことを知っていますか。それが三つの「海堡」です。

「海堡」(かいほう)とは”海上の要塞”という意味で、元々

海だったところに石や砂を撒いて埋め立てて作られた

人工島です。

ここで少し歴史のおさらいです。明治２２年、旧日本軍は東京湾の防衛のため「海堡」の築造に着工

し、膨大な費用と数十年の年月をかけ、大正３年に完成しました。しかし、この「海堡」は完成直後、

関東大震災によって軍事的機能を喪失します。

水深の浅い「第一海堡」は小さな被害、水深が中間の「第二海堡」は中被害でしたが、水深の深い

「第三海堡」はコンクリ−ト構造物のほとんどが海中に転落あるいは傾斜して甚大な被害を受けま

した。

「第一海堡」へは渡る船がなく、行くことができません。

「第二海堡」だけは例外で、定期船で一般人も行くことができます。

「第三海堡」は 大部分が水没暗礁化したため撤去作業が進行しています。

「第二海堡」への交通は、京浜急行電鉄金沢八景駅で、シーサイドラインに乗り換え、野島公園駅で

下車します。駅の階段を下りると橋がありますので渡ります。橋を渡るとすぐに“村本海事”という事務

所があり、そこから定期船がでています。

定期船は結構揺れますので乗り物酔いされる方は要注意です。しかも船内はエンジン音のおかげで

なかなかの大音響です。

「第二海堡」には売店、自販機はもちろん水さえも無いので、食料や飲料は事前に準備が必要です。

定期船乗り場の近くにコンビニがあります。それからトイレもありません。

３０分ほど船に揺られると「第二海堡」に到着します。海から眺めると予想以上に大きな島でした。

上陸して、島の上部へと続く階段を登りきると、かつての要塞島としての面影を残した砲台用トーチカ

が静かにたたずんでいます。

壁越しに海を眺めてみる。この日は快晴。

かつて島の外周はコンクリートやレンガで固められていたようですが、関東大震災によってことごとく

倒壊し、今は瓦礫の山となって放置されています。近づくのは危険ですので注意しましょう。

関東大震災の脅威を物語る数少ない史跡です。

巨大なコンクリートやレンガの瓦礫。

島の内部は３層もの地下施設があるそうなのですが、現在は危険だということで入り口が全て封鎖さ

れています。残念。

↑サボテンみたいな植物。こんな寂しい島でも植物は強くたくましい。

「第二海堡」は永年の侵食を受け外側から徐々に崩壊しているため、将来渡航できなくなるおそれが

あるそうです。また、再度大きな地震があれば島自体が崩壊するかもしれません。

膨大な費用と年月をかけたこの要塞島も、時代に取り残され消えゆこうとしています。

【交通】

株式会社村本海事　 ※ 第二海堡は2005年6月をもって渡航ができなくなりました。

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